基本的な練習パターンといえば、最初に分解練習をいくつか行い、それを組み上げていくもの。分解練習が組み上げたいものとマッチしていることを前提として、今回は、「本当にその分解練習は必要なのか」を考えると同時に、「最高の練習とは何か」を改めて考えたい。

 

結論から先にいうと、最高の練習とは、5on5のゲームであると私は考えている。(3×3はいま考えないものとして)バスケットボールは、5人と5人でおこなうスポーツなので、その中での学びが「ナチュラルな学び」であるはずだ。ではなぜ、どのチームも分解練習をおこなうのだろう?

 

5on5は最高の学びを与える=発生する学びの量が多い。学びはつまり成功と失敗であるから、うまくいくプレーもあればミスも多く出るということだ。ひとえにミスと言っても、スキルミス、戦術の理解ミス、メンタルのミスなど様々で、40分間プレーすれば、そこには膨大な課題が発生している。

 

課題を解決するにあたり、コーチの多くは、これを学校の勉強と同じように考えるのではないか。テストをしたらテスト直しをする。ミスを再びミスにしないために「平安時代は794年だ」「10+4は14だろう!なんで16なんだよ!」といった具合にひとつひとつ修正していく(計算ミスほどバカバカしいものはない。なんでこんなミスを、、、と当時はよく思ったものだ)。

 

しかし、バスケットボールはバスケットボールであって、テスト勉強ではない。ふたつの大きな違いは「シチュエーション」である。テストは同じ問題が再度出題されるが、バスケットボールは同じ問題は出ない。つまり「あの試合で起きたあのミス」は、同じシチュエーションでは起こらない可能性が高い。

 

といった前提の上で「あのミスに対する分解練習は必要なのか?」を考えると、コーチの悩みが「また」増える。分解練習は必要だが、内容の吟味を怠ってはいけない。コーチは課題を因数分解し、より本質的な要因を追求する必要がある。そこを見誤ると、「一部のシチュエーションでしか活用できないスキル」を伝えることになってしまう。

 

と考えると、汎用的なスキルを分解練習ではおこなうほかない。つまり「ここでもここでもここでも」使えるスキルとなるわけだが、そこにこそ、選手の特徴にあわせたカラー(特徴)があると考えている。なぜならば、選手・チーム戦術によって、因数分解した「解=本質的な要因」は違うからだ。

 

しかし、解が出てもコーチの悩みは続く。悩み抜いて考えた「これだ!」という練習を、選手は「まず間違いなく」ないがしろにするだろう。あれほど、要点を詰め込んだ深い練習も、選手は「ただのひとつの練習」としか思わないからだ。また同じようなミスをする。あれほど、素晴らしい練習をしたのに・・・。

 

もし「この悩ましいスパイラルを抜け出したい!」と思うのなら、コーチという仕事を諦めたほうがよいかもしれない。世界最高峰のNBAのコーチも同じ悩みを感じている(はずだ)。なぜなら、NBAの選手たちでさえ、今日もミスをするから。アマチュアの自分が、アマチュアチームのコーチをするのだから、この悩みから開放されることはまずない。

 

ただ、悩ましい毎日から逃れることはできないにしても、ひとつオススメしたいことがある。このプロセスを選手と共有してみてはいかがだろうか。選手といっしょに因数分解し、「解」を考えれば、選手にとっても自分事になる(もちろんすべてを相談することはできないが)。

 

また、コーチ仲間と共有することもオススメしたい。クリニックがあればしめたものだ。講師にどうやって「解」を求めたのか、そのプロセスを質問するとよい。素晴らしいコーチは必ず、「その視点があったか!!」という素晴らしいプロセスをもっている。補助線ひとつ引ければ世界が変わる図形の問題のように、自分の思考の世界にも素晴らしい変化が訪れるだろう。

 

まとめ)

私は、より最高の学びにつながる練習は5on5であると考えている。そのフィードバックから課題解決をおこなう上で、分解練習はどうしても必要になる。ただその際に、より効果的な分解練習にする過程を怠ってはいけない。選手やコーチ仲間とコミュニケーションを図りながら、より本質的な解を求め、汎用的な解決方法を習得できる内容にしたいと考えている。